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刑法の基本をしっかり抑えよう 刑法入門 総論#1の記述です
刑法の存在意義とは
刑法と聞くと、悪いことをして警察に捕まって、裁判所で有罪判決を受けて、刑務所に入る、その過程の基本となる法律だっていうイメージではないでしょうか?
そんな筆者も、昔は悪いことをするとよく母親にこっ酷く怒られたもので、私たち人間は叱られることによって『あぁ、悪いことをしてしまったんだ』と学び、反省していきます。
刑法も同じで、叱られる(罰を受ける)ことによって、または悪いことをすることで何らかの罰を受けることを知り、結果として悪い行為を回避することを考えます。
刑法で言えば、199条の殺人罪は最低でも5年以上の懲役に処せられるので、これが抑止力となって世の中がある程度平和に保たれているのです。
つまり刑法は、犯罪に対して罰を定めることによって、犯罪を抑止する為に生まれた法律なのです。

僕もこの前友達からお金を脅し取ったことがお父さんにバレて、お父さんにボコボコに殴られました。こういう悪いことはもう辞めようと思いました。
バレた時の末路が割に合わない行為だからやらない、という考え方が正しいのかもしれませんね。もし1000円盗んでバレた場合に1000万の罰金刑だとしたら誰もこんなリスクは負わないですよね。
刑法の役割とは??
犯罪の被害を極力防ぐ機能がある
特別予防機能
例えば、あなたのクラスのAくんがあなたの財布から100円を盗んだとしましょう。それが担任の先生にバレて、ひどく叱られました。Aくんは反省し、もう二度としないことを誓います。刑法も全く同様で、一度罪を犯した者に罰を与え、よって二度と再犯しないことを期待するわけです。この機能のことを特別予防機能と呼びます。
一般予防機能
先程100円を盗んだAくんが先生に叱られている場面を見た他の生徒も「お金を盗んだら怒られるんだ」と感じます。当然、他の生徒に対しても抑止力が働くのです。
刑法も同じで、悪いことをしたら罰があることを知り、割に合わないことはやめようと促すのです。この機能は一般人が犯罪を躊躇させるためにあるので、一般予防機能と呼ばれます。
刑法が保護する対象 保護法益
上記予防機能のおかげで、私たちが犯罪の被害者になる可能性が低くなっています。刑法は、上記の予防機能に加え、犯罪の被害者を出さないように予防する法益保護機能をも持ち合わせているのです。法益とは、個人が持っている利益(生命、身体、財産)を指します。
自由保障機能
刑法は一見厳しそうに見えますが、実は自由をも保護している側面があります。例えば、『髪の毛を金髪に染めてはいけません』という校則があったとしましょう。ある生徒がある日銀髪にして投稿してきました。生徒としては『これは金じゃない、銀だ!』と主張し、校則違反ではないと先生に食ってかかります。実際は金がダメなら銀も当然ダメだと叱られるでしょう。しかし刑法はこの点は厳格で、金がダメ!つまり、他の色は何でも良いと解釈しなければならないのです。
つまり、やって良いことと悪いことを明確に条文で線引きしているのです。例を挙げてみましょう。
刑法には窃盗罪という罪があります。他人の財物を盗む犯罪ですが、この財物に〝情報そのもの〟は含まれないと解釈されています。身近な例で言えば、飲食店のアルバイトがシェフの作った特製唐揚げのレシピを目で盗んだとしましょう。レシピ自体は〝財物〟ではなく〝情報〟にあたるので、窃盗罪には問われません。レシピを盗んだアルバイトを罰したいなら、窃盗罪の条文には〝財物または情報〟と書かなければならないわけです。このように刑法はアウトとセーフをしっかりと国民に示すからこそ、自由が保護されるのですね。
え、レシピを盗んでも犯罪にはならないんだ!知らなかった!僕も明日上司のパソコンからレシピを盗んで独立開業でもしようかな!
あくまでもこの例は刑法上では罪にならないだけですよ。例えば、レシピが入ったUSBメモリーや、ノートなどを盗めばそれは財物を盗んでいるから窃盗罪に問われるし、上司のパソコンから勝手に盗めば不当競争防止法という法律で裁かれる可能性があるから気をつけてね。
罪刑法定主義とは
罪刑法定主義とは、『法律なければ犯罪なし、法律なければ刑罰なし』というように、犯罪と刑罰が法律に定められていなければ処罰されないことを意味する主義のことです。
自由のための刑法
刑法には自由保障機能があると説明しました。その保障を確たるものにするためには、やってはいけない行為とその罰則をあらかじめ法律で明確に定めなければなりませんよね。
余談ですが、お隣の国などはこの罪刑法定主義をもじって罪刑人定主義と呼ばれています。
日本では、総理大臣である安倍晋三首相をどれだけ痛烈に批判したとしても、罪には問われません。しかしある日『お前を総理大臣侮辱罪で逮捕する!』と言われたらどうでしょうか。
『何それ!?いつそんな法律が制定されたんだよ?』
『はっはっはっ、今俺が法を作ったのだ』
これでは国民の自由など保障されず、なんとも理不尽だと思いますよね。これで刑務所に入ったとしても反省のしようがありませんし、逆効果ですね。
そのため、法律にやってはいけないことだけを明記し、それ以外の行為はやってもいいですよと国民に知らせることで、国民の自由が担保されるのです。
民主主義の実現のための刑法
日本の様々な法律は国民の代表機関である国会で制定されます。三権分立って覚えていますか?中学校で習いましたね。国会は三権の中の立法府にあたります。罪刑法定主義の下では、やって良いことと悪いことの線引きは国民自身が考え、選挙を通して決めているのです。民主主義の根幹を担っている素晴らしい主義と言えますね。
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