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この記事は離婚訴訟の手続きについて書かれています。
現在夫と離婚調停中なのですが、相手は不貞の事実も離婚にも同意しません。証拠をしっかりとっておけばよかったと後悔してます。調停が不成立になった場合、裁判になるんですよね?離婚訴訟とはいったいどのようなものなのですか??
証拠がなければ調停員や裁判官を納得させることはできないですからねぇ。いいですか、民事訴訟は証拠が全てです。民事訴訟というのは、刑事訴訟と違って事実の解明を目的にしていません。あくまでも当事者間の争いの解決を目的としています。証拠がなければ原告が不利になることは肝に銘じましょう。
離婚訴訟については家庭裁判所で行われます。このような人事訴訟について少し深く解説して行きますね。
離婚訴訟の手続き
離婚訴訟の管轄
離婚訴訟の管轄裁判所は”原告又は被告の普通裁判籍”の家庭裁判所です。(人事訴訟法第4条)普通裁判籍とは、この場合原告か被告の住所地を指します。
仮に離婚訴訟の管轄がない家庭裁判所で調停を行なっていた場合、当事者の申し立て、もしくは職権で自ら裁判をする事ができます。(人事訴訟法第6条)
離婚裁判で勝つには法定離婚原因が必要
離婚裁判で勝訴(離婚を認める判決)を勝ち取るには、民法770条1項各号にある”離婚原因”がないと困難でしょう。原告はこの離婚原因があることを主張立証していく必要があります。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
民法770条1項1号の”不貞行為”は、貞操義務に違反する行為であるとされており、配偶者のある者が自由意思に基づいて他の者と”性的関係”を結ぶことと定義されています。この自由意思というのは、浮気相手の自由意思までは関係がないので、仮に強姦や風俗店でもこの離婚原因に当てはまる可能性はあります。
不貞行為が認められず離婚できなかったケース
裁判例では、2ヶ月間にわたる不貞行為の事実があっても、それ自体が離婚の原因とは言えないとして不貞行為を否認したケースや、不貞行為はあったが離婚の原因はそれよりも経済的な問題の方が大きいとした判決があります。
判例では、妻が夫の不貞の事実まで立証することはできなかったが、夫はそれに対して誠意を尽くして反省するなどがないことから、第5号に当てはまると判断し、離婚を認めたケースがあります。
悪意で遺棄とは?
民法752条では、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないとあります。つまり、同居を拒否したり、一方の生活の保持義務を怠った場合、悪意で遺棄に当てはまる場合があります。自ら長期間家出をしたりする場合もこれに該当します。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときの例
民法770条1項5号は非常に抽象的に書かれているので、多くの前例がここから生まれます。一部ご紹介します。
- 暴力や虐待行為 いわゆるDVが原因で離婚が認められる事があります。
- 性格の不一致、愛情喪失 性格の不一致に関しては、実際は結構厳格に判断される傾向があります。
不貞の証拠を掴む
不貞の証拠と言っても、配偶者と浮気相手が性行為をしている場面をカメラに収めるのは探偵でも困難です。通常はこのような直接証拠は手に入りません。しかし、慰謝料請求の場合の証拠としても同様ですが、間接的に立証する事なら可能です。例えば、手を組みながらラブホテルに出入りしている動画を撮影したり、補強証拠として二人の関係は一線を超えているだろうと思われる証拠で立証します。例えば、妻子持ちの男が他の女性と手を繋ぎながらディズニーランドでデートすることは一般的に考えて一線を超えています。少なからず、恋愛感情がなければしないでしょう。そんな中、2人でシティホテルに出入りしたり、相手の自宅に出入りしたりと確実な”不貞証拠”ではないにせよ、証拠としては強化されていきます。
「シティホテルで仕事の話をしていただけだ!」「女の家で夕飯をご馳走になっていただけだ」という苦しい言い訳を打破する補強証拠は必要です。また、証拠には日付が立証できるものでなければなりません。せっかくホテルに入っていく動画が取れたのに〈これは君と結婚する前の動画だろ!〉と言われかねません。必ずスマホで日時がわかるような画面を写した証拠を取りましょう。