この記事は株式会社とは 会社法入門#1 株式会社総説ついて書かれています。
どうもオレンジ博士!僕も今年で18才になりました。起業をしたいのですが、手伝ってください。
もうそんな歳になりましたか。株式会社を立ち上げるんですか?いいですね、お手伝いしますよ!
起業する場合もそうですが、経営していく上で会社法の知識は絶対にあった方が良いので、ゆっくり勉強していきましょう!
株式会社の存在意義とは
営利を求めるための会社 株式会社
私たちは生活をしていく上で、物を買ったり、サービスを受けたりしますよね。それにはお金という対価を支払って手に入れます。株式会社はその典型的な例の一つで、会社の種類の中でも一番スタンダードな形態と言えます。会社とは難しい言葉で営利社団法人と呼ばれます。
営利性-誰のために稼ぐのか-
営利社団法人の営利とは、金儲け、商売の意味です。金儲けを目的としていない場合は株式会社として存在できません。
ではその儲けたお金は誰のためのお金なのでしょうか。従業員?社長?会社?
いいえ、答えは出資してくれた株主のためです。シェアホルダーやストックホルダーなんて言い方を聞いたことがあるかと思います。株式会社は株主のために存在するということは絶対に忘れないようにしましょう。ではどのようにして株主に恩恵を与えるかですが、これは分配という手続きによって利益を渡していくことになります。
社団性-人間の集まり-
次に社団とは?ですが、みなさん個人事業主という言葉を聞いたことがあると思います。個人事業主とは、1個人が”商人”として営業活動をしている形態を指します。最近ですとフリーランスなんて言い方をするでしょう。フリーランスも、やがて規模が大きくなると法人成りといって会社を設立するケースが多くなってきています。これは税金がお得になったり、社会的信用を向上させるために行なったりと理由は様々です。話を戻しますと、社団性とは個人事業の逆の概念で、複数の人間が協力して行う共同事業のことを言います。
ここで注意したいのが、この人間というのはあくまでも出資者を指すということです。従業員が100人いたとしても、株主が1人だけの場合が、厳密にいうと社団性があるのかというと疑問です。ですが、この社団という言葉自体に大した意味はないので、会社=社団性ありだと思って問題ないでしょう。
法人性-人と擬制する
私たち人間のことを法律用語で”自然人”と呼ぶのに対し、会社等のことを”法人”と呼びます。法人は、目に見える存在でもなければ、手も足もありません。自分では何もできないけども、会社を”人”として扱うことで便利なことがたくさんあります。例えば、法人名義で携帯電話やWIFIを契約したり、賃貸物件の名義人になったりする場合など、法律上人間と同じように権利義務の主体になれば、その会社の業務を執行する代表取締役(社長)との財布を綺麗に分けることができたり、責任の所在もはっきりしますね。会社法3条では”会社は、法人とする”と規定しており、会社に法人格を与えているのです。
会社法の用語を整理、解説してみよう
出資とは何か
出資とは、会社がビジネスをしていく上で必要な資金や物資を提供することを言います。出資をすると、その出資の割合に応じて株主たる地位が与えられ、株主としての特典を受けることになります。一般的に言う”投資”がこれに当たるのではないでしょうか。
従業員とは
会社法上に”社員”と言う言葉があります。しかし、これは従業員のことではなく、会社の持ち主(株式会社で言う株主)を指します。また近い概念として”役員”と言う言葉があります。今の段階では、役員とは会社業務を執行する偉い人たち(社長、専務、常務とか)くらいの認識で大丈夫です。
配当金とは
会社が出した利益(税引後利益)から一定の金額を剰余金として算出し、株主に分配するお金のこと
株主総会とは
株主が集まって会社の経営基本方針や株主に対する分配額、取締役の給与、取締役の選定などを決める組織です。
議決権とは
株主総会において、議題に対して自己の株式比率に応じた議決を投票する権利のことを言います。
リスクは最小限、リターンは最大限を狙うのが株式会社
実は、会社にも様々な種類があります。便宜上このブログでは株式会社を中心にお話し、合同会社については若干の説明を、他の会社形態については割愛します。
株式会社とは
株式会社は、誤解を恐れずに言えば”株式”と言う”会社の所有権を細切れにした権利証”を渡す代わりに、資金を募って大きなビジネスを展開するための会社形態です。株式会社は、失敗リスクも高いが、当たればでかいビジネスを行う組織にとって一番ベストな会社形態です。
例えば、予算3000万円で高級肉バルを都内の一等地に作る計画があるとします。提案者であるAさんは手持ちに300万円しかありません。そこで自分が代表取締役になってガンガン利益を上げていきます!どうか誰か残りの2700万円を僕に(会社に)出資してください!となります。
友人Bさんはちょうど2700万円の貯金があり、Aさんの企画にも興味がありますが、しかし流石に全財産を出資するのは怖いです。そこで友人Cさんが”1500万円なら出すよ”と言い出しました。
するとどうでしょう?Bさんは残りの1200万円なら出資してみようかなとなります。
この場合、株式比率は以下のようになります。
Aさん | Bさん | Cさん |
出資額 300万円 (比率 10%) | 出資額 1200万円(比率 40%) | 出資額 1500万円(比率 50%) |
Aさんが代表取締役として頑張るのであれば、Aさんは株主である自分、Bさん、Cさんのために利益を上げる責任があります。余談ですが、一般的にAさんは社長としての労働対価として毎月お給料(役員報酬)がもらえますが、株主のBさんCさんは役員にならない限り毎月のお給料は出ません。お友達と合同出資の場合は役員に登用して毎月強制回収していくやり方もあるかと思いますが、ここでは原則論だけのお話に留めます。ではBさん、Cさんはどうやって投下資本を回収して儲けを出していくのでしょうか。
冒頭でも話した通り、”分配”と言う制度があります。これはまた別の機会に説明します。
株式とは
株式の定義は”細分化された均等な割合的単位の形をとった株式会社の社員たる地位”となっております。全く持って意味がわからないかと思いますが、順に説明していきます。
株式会社は、出資を受ける代わりに、その出資をした人に株式を与えます。設立時の資本金が1000万円の会社で、発行する株式数が1000個だとしたら、1株1万円ですね。Zさんがこの会社に100万円(100株)出資した場合、Zさんは持ち株比率10パーセントの株主になります。
株主になると、Zさんは株主総会に参加して10%なりの議決権を行使したり、10%分の配当金分配を受ける権利を得ます。さらに、会社が解散する場合、残余財産分配請求権を行使し、会社に余った財産の10%をよこせと請求することができます。
株式会社の特徴
株式会社の一番大きな特徴は、何と言っても「株主有限責任の原則」(会社法104条)です。
104条 株主の責任
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする
会社法第104条より引用
この条文の言おうとしていることとは、つまり”出資した金額以上の責任は負わなくて良いですよ”と言う意味です。会社が1000億円の借金を抱えたまま倒産した場合、今後は出資したメリットの享受は受けられない+出資した金額については戻ってこなくなるという責任を負えば終わりです。
株主のメリット
100万円出資して、将来会社が大きくなって安定的に毎年100万円が不労所得として入ってきたら嬉しいですよね?大会社でない限り、出資する人は基本的にこのインカムゲインに期待して出資します。この時点でのこの出資者は、当該事業がうまくいかず「100万が戻らぬうちに倒産するリスク」を負います。別の言い方をすれば、これ以外のリスクは負わずにリターンを期待できるわけなので、安心して出資ができる点が株主のメリットと言えます。初めから損切りができていると思ってもらえればOKです。
所有と経営の分離について
これは中小企業ではちょっと想像しにくい部分になります。この所有と経営の分離と言う概念は、私たちが知っているような大企業にぴったり当てはまる概念なので、大きな会社をイメージして見ていきましょう。
会社経営はプロに任せます
大きな会社は、株主と経営陣(役員)がしっかり分かれています。と言うのも、株主は経営に関しては素人ですし、経営にあまり興味がありません。株主は金主として役割を果たし、お金稼ぎはプロにやってもらう方が良いに決まってます。また、大会社の株主は数万人に及びます。いちいち全員の意見を聴きながら経営していては機動性に欠けてしまいますよね。株主から選ばれたプロの役員が、ある程度決定権を持ってビジネスをする方が皆の利益に敵います。このように、会社の所有者である株主と、経営を執行する役員が分かれている制度を所有と経営の分離と言います。(このように、所有と経営が分離した状態の代表取締役を雇われ社長と呼んだりします。)
では中小企業はどうでしょうか?資本金が500万円程度の会社ですと、ほとんどが1人で100%出資しているオーナー会社がほとんどです。株主と経営者が同一人物で、株主総会もいつでもどこでも独り言のように行なえるので機動性は抜群ですね。
いかがだったでしょうか?次回は株式会社の設立にフォーカスを当てて解説していきます。
