財産分与で負けない豆知識 知って得する4つの離婚術
長年探偵をやっていると様々な離婚劇を目の当たりにします。
中には旦那の不倫に激昂して『離婚さえできればいい!』などと仰る方もいらっしゃいます。
しかし、離婚のきっかけを作ったのは紛れもなく旦那様なわけで、離婚後の残された余生について知らんぷりでは毛頭許すことはできません。
今回は離婚時において絶対に知っておくべき点をご紹介します。


離婚時の財産をどう分ける?財産分与について
財産分与とは、婚姻継続中に夫婦で築いた預金や家財道具などの「共有財産」を、離婚をする際に二人で平等に分けることを言います。
財産分与は、その性質によって、清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与という三つに分類することができます。
それぞれどのようなものなのか、一つずつ見ていきましょう。
<貢献度に応じて分ける清算的財産分与>
それぞれの財産形成に貢献した割合に応じて財産を分けることを言い、財産分与では最もポピュラーな方法と言えます。
この清算的財産分与は、築き上げてきた財産に対して各々がどれくらい『寄与』したかによって決められます。
では仮に奥様が専業主婦で一切経済的には寄与していないような場合、奥様は全く寄与していないかというとそうではありません。
一般的には『折半』で解決することが多いように見受けられます。
<専業主婦に給付されるべき扶養的財産分与>
清算的財産分与や慰謝料請求だけでは配偶者の一方が自立生活していけない場合に給付すべき財産分与をいいます。
例えば、配偶者の一方が重い病気にかかっていたり、長期にわたり社会に出ていないような場合は離婚後に職を見つけるのは困難でしょう。
このような場合は『離婚後◯年間は毎月◯万円支払う』と言った約束事を取り付けます。
<有責配偶者に支払い義務がある慰謝料的財産分与>
これは、不倫や浮気になどによって離婚原因を作ったとされる張本人が慰謝料の意味を込めて給付する財産分与になります。
探偵を使って浮気現場を抑え、弁護士の介入で離婚を争うような場合は、慰謝料的財産分与を含めた交渉になるため
分与額自体は大きくなる傾向があります。
したがって、財産分与を算定する場合はまず清算的財産分与を確定します。家庭全体で金銭的価値のあるものを金銭に換算し、半分は分与対象と考えます。
さらに、奥様が病気だったり長期間社会に出ていないといった事情がある場合は扶養的財産分与をプラスし、さらに旦那の浮気が原因であれば慰謝料を組み込むことが法的にも認められていることを抑えておきましょう。
財産分与のタイミング
財産分与は離婚成立後2年以内に行われなければ、請求権が消滅してしまいます。(民法第768条)
離婚前、または離婚後速やかに解決しなければなりません。
財産分与自体、ほとんどが離婚手続と並行に交渉が行われるのが通常です。
なぜかと言えば、この交渉が難航した場合や自分が納得できない場合は離婚を拒むと言った戦略的な部分をはらんでいるからです。
DV(家庭内暴力)といった緊急性を伴わないような場合は、しっかりと離婚前に成立させるべきでしょう。
財産分与の手順について
ここでは一般的に多く使われる財産分与のやり方、手順を説明いたします。
<1 資産価値のある物を全てリストアップする>
まずは結婚生活後に築いてきた現在ある資産を洗い出すことが財産分与の出発点です。
資産というのは、資産価値のある財産、つまりお金に換算することが可能な物ということです。
一般的には以下のようなものが当てはまります。
<プラスとなる財産>
・現預金
・自己所有の不動産
・車、バイク
・貴金属や高価な美術品
・株式等の有価証券
<マイナスとなる財産>
・個人的な借金
・住宅ローン
・自動車ローン
・学資保険
<2 共有財産と特有財産に振り分ける>
これらプラス財産とマイナス財産を集計し、プラスの部分に対して財産分与を持ちかけていきます。
ただし、財産には大きく分けて共有財産財産と特有財産という区分けがあり、財産分与の対象になるのは共有財産だけです。
特有財産(プラスもマイナスも)は財産分与から差し引くことを忘れないでください。
・共有財産とは 婚姻中に夫婦が築き上げてきた財産で、財産分与の対象になります。
・特有財産とは 婚前、または別居後に配偶者が築いた財産のことで、これは財産分与の対象になりません。
探偵や弁護士が長期の別居を勧めないのは、別居後に大きな財産を買われた場合に特有財産となってしまうからなのです。
<3 財産分与を具体的に計算する>
プラス財産からマイナス財産を差し引いた金額がご家庭の全財産となり、清算的財産分与に従えば一般的にその半分が分与額となります。
そこから、有責配偶者への慰謝料や扶養的な側面から増額を交渉していくことになるでしょう。
<4 具体的な財産分与の取り決めを行う>
現預金はその金額自体が価値と見なされるため問題にはなりませんが、不動産や自動車といった『価値』を容易に算出できないものや、
実質的に分割することができない物をどう処理するのかが問題となります。
このような財産は、どちらか一方が不動産を取得し、その取得対価をもう一方に対して支払ったり、売却して現金化することによって解決することが多いです。
たとえば旦那名義で購入した不動産で、奥様的が不動産を不要と考えれば、現金を多めによこせ!といった感じで交渉していきます。
財産分与を有利に進めるためには
今まで話してきたことを抑えた上で、実際上最も重要なのが『正確な財産の把握』なのです。
離婚の話を出した瞬間、旦那が財産隠しに走ることは容易に想像がつきませんか?
離婚=金を取られるというのは男性の中では常識化しています。ある意味税務署よりも厄介な存在なのです。
ですので、離婚を切り出す前に必ず以下の正確な財産リストを作成しておきましょう。
<1 預貯金額の把握をする>
まずは配偶者名義となっている預貯金額の把握をしましょう。
預貯金額を調べるのは容易ではありませんが、ATMから引き出した時のレシートや、通帳のコピーを取るなどの対策は必須です。
これを怠ると、財産分与額に大きな影響を及ぼし不利な条件で離婚をせざるを得なくなってします。
最悪でも、持っている銀行と支店ぐらいは抑えておきたいところです。
<2 不動産の評価額を確認する>
不動産の価格は一般人ではわからないと諦めてはいけません。実は近くの不動産屋さんへ行けばほとんどの所で無料査定してくれます。
売却の可能性を示唆し、一度不動産の査定をお願いすることをオススメします。
また、ひどい話ですが配偶者が愛人にマンションを購入したような場合、仮に名義が愛人名義だとしても実際は配偶者の財産から拠出しているので、
お金の出所さえ証明できれば共有財産としてカウントすることができます。
<3 住宅ローンはどう影響するのか>
住宅ローンの残債は、原則としてマイナス財産として計上します。
購入総額 4000万円 ローン借入4000万円
現在のローン残高1000万円
現在の不動産評価額 2000万円
このような場合は、不動産評価額からローン残高を引いた1000万円が財産分与の算定基礎になります。
ただし以下のような場合は注意が必要です。
購入総額 4000万円 ローン借入4000万円
現在のローン残高3000万円
現在の不動産評価額 2000万円
このように、不動産価値が購入時よりも大きく下落した場合や、割高な不動産を購入した場合、または購入後間もない場合に起こりうるのがこの『オーバーローン』という現象です。
不動産評価額からローン残高を引いてマイナスになるような場合は、財産分与財産の対象外、つまり財産としてカウントされません。
また、オーバーローンの状態で不動産の名義変更をする場合、金融機関が難色を示します。あまり現実的ではありません。
したがって、よくある解決方法としては旦那が今後もローンを払いながら自己名義である不動産を配偶者へ未来◯年間無償で貸し与えたり、逆に旦那がそこに住み続けるといった方法がよくとられています。
<4 将来の退職金は財産分与の対象なのか>
これも忘れがちな部分ではありますが、退職金も立派な財産分与の対象です。ただし、以下の点に注意しましょう。
・認められる退職金の金額算定 同居期間の年数に応じた部分のみが対象となる
・まだ退職していない場合 将来において退職金が受領できることがほぼ確実である場合にのみ算入可能
配偶者が23歳で某会社に勤め始め,33歳で結婚し、65際で離婚、定年退職となった場合は、65-33=22年分に当たる退職金について財産分与財産に算入することができます。
また、上記の例で62歳で離婚した場合はというと、3年後には退職金が受領できることがどれくらい確実なのかを判断する必要があります。
勤め先の就業規則や雇用契約書に退職金の記載があり、ほぼ確実となれば算入は可能です。
あとは退職までの年月の長さに関しては、裁判例によると9年後に受領できる退職金を財産分与財産として認めたものがあります。
(東京地裁平成17年4月27日判決判例秘06031697)
<5 蓋を開けたらマイナス財産の方が多かった場合の取り扱い>
現金預金も不動産もなく、借金だらけのような場合には、結論から言えば財産分与は行われません。
というのも、財産分与の制度趣旨が『プラス財産があるなら、夫婦関係解消時に清算しよう』なので、マイナス財産がプラス財産を上回っている場合はマイナス財産分を配偶者に押し付けることはできません。
<6 自分にとって価値がある物の取り扱い>
例えば、長年連れ添ったペットや、衣類、コレクション品など、一般的には無価値とされているものでも、自分にとっては価値があるものも少なくありません。
このような物は離婚時にしっかりとリストアップしておき、交渉時に相手に対してしっかりと示しておくことが必要です。
離婚協議書に『清算条項』という項目があり、そこに記載していない物を配偶者が勝手に処分したとしても文句は言えないからです。
<7 配偶者が会社を経営している場合>
配偶者が会社を経営している場合、その法人の財産が財産分与の対象になるかといえば、これは対象にはなりません。
法人は個人とは別人格なので、いわば全くの他人として扱われるべきだからです。
ただし、結婚後に配偶者が起業した場合や、結婚前から起業していても、結婚後に増資したような場合はその株式について財産分与の対象となります。
いかがだったでしょうか。旦那の浮気が原因で離婚するケースは今じゃ珍しいことではありません。
浮気しているんじゃないか?そう思ったら、自分で変に行動するのではなく、まずは弁護士や法律知識のある探偵に相談してみましょう。
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